ご挨拶

 

この度、私どもは「市民後見センターちば」を発足させました。

文部科学省は平成20年「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」を発表し、これにそって東京大学と筑波大学が「市民後見人養成講座」を共同開催いたしました。私どもは、128時間に亘るこの養成講座の修了生によって千葉県に結成された団体です。

成年後見制度は、判断能力の衰えた高齢者や知的障害者、精神障害者等が、一般市民とともに暮らせる社会をめざして、これらの方々を法的にお世話する人を後見人等として制度化したものです。そこでは法の理念も大きく変化し、従来の禁治産制度・準禁治産制度のように「財産を治むるを禁ず」という否定的な発想から、人間本来の潜在能力を導き出し、その人の生き方を尊重した社会をめざすことにあります。

この成年後見制度は、平成12年の公的介護制度の改正と同時に施行され、車の両輪のごとく機能することが期待されました。つまり、従来の公的介護が行政による一方的な「措置」であったのに対し、改正後は、どのような介護を受けたいのか、個々の選択、つまり契約によることになりました。よって、判断能力が不十分な方々に対しては、成年後見制度による後見人等が重要な役割を果たすことになったわけです。

しかし、成年後見制度発足から10年以上が経過しましたが、国民への浸透は相当な遅れをとっております。世界に類を見ない急速な超高齢社会をむかえたわが国は、今後、30年間をどう乗り切るのかという大きな課題を抱えております。そしてこのことは他の先進国が今後、解決しなければならない問題でもあり、日本はそのモデルケースとして、後世に歴史上の証左となるべき役割があるといえるでしょう。

そのためには、国民一人ひとりが自立と生活設計力の向上を目指し、一方ではそれを補うものとして、人間本来の共助の精神による社会を築かなければなりません。その手法として成年後見制度の活用は、今後のわが国が採るべき戦略上の有力な方法論といえ、身近な市民の中からはやく後見人を育てる必要があります。

当法人では「あなたのそばの市民後見人」をキャッチフレーズに、市民に対する成年後見制度の啓発普及、後見人の養成、後見等の相談・引受けなどを行うことを目的としております。当法人の活動にご理解をいただき、是非、皆様のご支援とご協力を賜りたくお願い申し上げます。

 

平成23年(2011年)5月10日 

           特定非営利活動法人 市民後見センターちば

                     理事長 若色 信悟 

若色信悟(わかいろしんご)のプロフィール

昭和25年生まれ。昭和49年成蹊大学法学部卒業。昭和54年学校法人東京商科学院専門学校専任教員(会計学全般、相続、FP)。税務会計科主任、教務部門長等を経て、平成11年日本ファイナンシャル・プランナーズ協会入職。教育事業部長、財務部長等を経て平成20年から研究活動に入る。平成22年東京大学政策ビジョン研究センター市民後見人養成講座第1期修了。平成23年NPO法人市民後見センターちば発起人・理事長就任。現在、産業能率大学兼任教員。CFP認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。平成13年明海大学大学院不動産学研究科博士前期課程にて不動産学修士(財産管理論)。

 最近の論文・著書等:『晩婚化時代の夫婦財産契約について』セールス手帖社FPS研究所発行

              雑誌『Best Planner』2009年6月号掲載論文

                 『シニア・ライフ・プランナー実践講座テキスト3遺言・相続・贈与とエンディングサポ-ト』共著 平成21  年銀行研修社発行

                『人生の引き継ぎを考える方にアドバイスしたい70のこと』共著 平成23年株式会社きんざい発行